今回紹介するのは、ウルトラQの実質的な最終話となっているおはなしで、「あけてくれ!」であります。

イメージ 26

ちなみに本放送時には、内容が難解すぎるのと、後番組の「ウルトラマン」を盛り上げるため、
「ウルトラマン前夜祭」を放送することになり、お蔵入りになったストーリー。
陽の目を見るようになったのは、再放送された1年半後であります。
























イメージ 1

星川航空パイロットの万城目と新聞記者の由利子は、休日を利用して再会。
一平に買い物の荷物持ちをさせて待ってたが待ちきれず、一平をほったらかしてデートに。(^_^;)

イメージ 12

置いてけぼりをくらった一平は、「バカー!」「ひとでなしー!」と、やんやん喚くが、
その時、空を見上げると信じられない光景が展開していました。

イメージ 19

夜空を列車が走っていたのでありました。w(゜o゜)w これが今回のおはなしのアンバランスゾーンです。















イメージ 20

ふたりっきりでイチャイチャしてる万城目と由利子。
「どこへ行きたい?」「あなたとならどこへでも」ふたりだけの世界へ。(^_^;)
「電話も締切も交通事故も借金取りも何もないところがいいわ♪」






イメージ 21

途中で倒れている男性を発見。死んでいたのかと思いきや、酔いつぶれているような感じでした。
ひとまず車に乗せて保護する二人。




イメージ 22

踏切に差し掛かり、停車。 カンカンと警報機。電車が通りかかります。



イメージ 23

電車に気付いた男が突然叫びだす。「あけてくれー!」「ここからおろしてくれー!」
あわてて男を引き留める万城目。様子がおかしいので、一ノ谷博士のもとへ連れて行くことにしました。




















イメージ 24

博士の研究所で催眠術を使って、男の記憶を呼び起こす。
男は沢村という会社員。あるとき、彼は不思議な電車に迷い込んでいた。
空を飛び、時空を超越した空間を走り続けていた。

イメージ 25

車掌に連れられ、他の乗客たちのところへ連れて行かれる沢村。
そこにある中年男性がいた。






イメージ 2

彼はSF作家の友野健二。彼こそがこの不思議な世界へ導いた人物だった。
現実に疲れ果てたものたちを苦しみから解き放ち、理想郷ユートピアへと誘う役目をもっていたのだ。
そこはつらい仕事も冷たい家庭もない。派閥争いも受験戦争もない。

すべての悩みを解消してくれる、まさに「理想の世界」だというのだ。

イメージ 3

時間と空間を超越したところなので、各人の過去の映像が車窓へと映し出されていった。
そこに沢村は、会社の上司や、昔の家族の姿を見る。
幼かったころの娘が自分を追いかけてくる姿を見た沢村は、急に帰りたくなり叫ぶ。

「あけてくれー!ここから降ろしてくれー!」

















イメージ 4

沢村の素性も分かり、不可思議な現象が起きていることを確信する面々。
実は沢村と同じように、空飛ぶ電車に乗ったものたちが複数いたのだ。















イメージ 5

翌日、万城目達は、沢村の記憶の中に登場したSF作家・友野に会い、事件の手掛かりをつかもうとした。


イメージ 6

だが、友野は一年以上も前から旅行に出ると行ったまま、戻らずにいた。
しかし、原稿だけはどこからか定期的に送られてくるため、家族は生活に困らなかった。








イメージ 7

一方、沢村は家族が迎えに来て引き取られていった。
しかし沢村は記憶はおぼろげ。妻と娘は酔っぱらって迷惑をかけた程度にしか思っていなかった。
妻は「恥をかいた」と沢村を責め立て残酷な言葉でののしる。
娘はそんな両親は嫌いだと嘆く。沢村の家庭は既に壊れていたのだ。

イメージ 8

沢村は逃げるように途中下車する。夕方近い時間だが今から会社へと向かうという。















イメージ 9

万城目や一ノ谷博士らは、警視庁に呼ばれていた。まずは見てほしい映像があるという。

イメージ 10

それは、アマチュアカメラマンが偶然とらえた、電車が宙に浮き消失するものだった。
警視庁は特に人的被害も出ていないことから、これを内々に処理したく、口外しないでほしいと要請。
事件はこうして、謎のまま幕を閉じることとなった。










イメージ 11

そのころ、沢村は会社へと行く。退社時間にやってきた沢村を上司は激しく叱責。
沢村はついに退職願いを出し、去っていく。



沢村は思い出していた。
冷たい家庭も辛い仕事も嫌になり、逃げだしたくなっていたのだ。
あの異次元列車に迷い込んだのは、そんな沢村の気持ちに応えるように出現したモノだったのだ。










イメージ 13

万城目は帰路につく途中、後部座席に友野の原稿が置いてあるのに気づく。
誰かが投げ入れたのだろうか? 思わず原稿の内容を読む二人。
そこには、友野が異次元列車、そしてユートピアに行くくだりになった経緯を、小説という形で寄稿していた。


















イメージ 14

彼もまた現実に疲弊していた。まわりの理解とほど遠い人間関係に嫌気がさしていた。
ある日、ふと思った。このエレベーターがどこか深い底へと進まないか。
それこそ地下20階とか、異次元とか、現実と離れた世界にたどり着かないものかと。

イメージ 15

そして到達した。「理想郷ユートピア」へ。
なにもかもが違う世界。そこは先住者が多くいた。
生活様式も文化も科学水準も、まったく異なり、かつ苦しみはない世界。

友野は、自分の終着駅として下車したこの世界に、永住することを決めたのだ。



万城目は友野の謎をある程度解く。
友野は異次元に住み、自由に仕事をし、短波を使って電話もかけられる。
現実と異なる世界に居続けることで、人とのつながりを完全に断ち切ったのだと。














イメージ 16

家庭も仕事も全てを捨ててしまった沢村は、空を舞う異次元列車を今日も追い求める。



「おーい!連れてってくれー!俺も連れてってくれー!!!」


イメージ 17

もしあなたが、理解ある異性や、温かい家庭をお持ちでしたら、夜の電車はくれぐれも気を付けてお乗りください。














イメージ 18




ちなみに、劇中の空飛ぶ列車は、小田急ロマンスカー。
途中で列車が空へと浮かび消えていくシーンは、都電荒川線です。

小田急線はウルトラシリーズの撮影に関して、かなり協力的なステキなところだったので、
これ以降も多く登場します。(^-^)









現実からの逃避。
誰もが一度は考えることがあるであろう思い。
もしこの世の嫌なことから逃げ出し、そこは理想郷だとしたら・・・。

人間は心で生きている以上、そのありようで世界は変わってしまうのかもしれません。
結局、この事件はまったく解決していませんが、
さらなるアンバランスゾーンへ続くという普遍的なテーマとしては、ウルトラQらしい最終回と言えるかも。




では、またです。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック